の範囲で定義される実関数 を正規直交系を成す三角関数の和で表される指数関数を用いて、次の通りに展開することを考えます。
展開係数は一般的に複素数です。 展開係数は指数関数の完全性から、元の関数から一意に
と与えられます。これはフーリエ級数展開と呼ばれ、もとの関数が空間分布であれば波数成分が、時間分布であれば周波数成分を取得することができます。 展開係数の実部を虚部をそれぞれ と表したとき、元の関数が偶関数の場合はのみ値を持ち となり、反対に元の関数が奇関数の場合はのみ値を持ちとなります。また、が実関数の場合には、
が一般的に成り立ちます。なお、Nが∞の極限で元の関数を完全に再現しますが、数値計算の場合には必要となる計算精度に応じて与えます。この展開係数を高速に計算するのが高速フーリエ変換(FFT)です。 また、展開係数から元の関数を計算するのは逆フーリエ変換と呼ばれ、ほとんど同じ計算で得ることができます。
の範囲で定義される実関数の例として矩形関数
の展開係数を高速フーリエ変換を用いて計算します。は矩形の幅を表します。 以下の結果はN=128の場合(2のべきである必要があります)です。元の関数が偶関数なのでのみ値を持っていることが確認できます。
上記で計算した展開系数を用いて逆フーリエ変換を行って元の関数を再現した結果です。元の矩形関数をほぼ再現していることがわかります。