(生体高分子&細胞運動)×(非平衡統計力学)=?
学会へ行こう!セミナーとは、他の大学、研究所の研究者との議論を通じて、他の分野の研究を理解するだけでなく、自分の研究の背景を認識することを目的とした場です。
第1回学会へ行こう!セミナー
この度は、非平衡統計物理の分野で研究をされている林 久美子さんをお招きし、無生物における「ゆらぎ」、生物における「ゆらぎ」について、筋肉、DNA、粘菌を題材にお話していただきました。
講演者 | 林 久美(早稲田大学理工学術院・先進理工学部) |
題 目 | (生体高分子&細胞運動)×(非平衡統計力学)=? |
日 時 | 2008年2月12日(火)10:30~12:00 |
場 所 | 泉キャンパス3号館2階 32N教室 |
概要 | 近年、タンパク質やDNA・RNAなどの生体高分子(揺らぐ小さな系)に、Jarzynski等式やFluctuation Theoremなどの非平衡統計力学の揺らぎの式が用いられ、 自由エネルギーやエントロピー生成が調べられてきた。セミナーでは、まず生体高分子についてBustamanteグループの実験を紹介し、これらの式の「使い方」を紹介する。 応用例として今度は細胞運動を例にとり、細胞の重心の変位の分布関数にFluctuation Theoremを利用することで運動の記述に現れるパラメータ(散逸係数など)の値を見積もってみる。細胞系に対しても、各種「揺らぎの式」を気軽に使ってみることのすすめ。 |
abstract: | In this paper, we analyze the electrotactic movement of Dictyostelium discoideum from the viewpoint of non-equilibrium statistical mechanics. Because we can observe fluctuating behavior of cellular trajectories, we analyze the probability distribution of the trajectories with the aid of the fluctuation theorem. Recently, the validity of the fluctuation theorem was verified in a colloidal system, and it has also been applied to granular systems, turbulent systems and chemical oscillatory waves to investigate some of their statistical properties that are not yet completely understood. Noting that the fluctuation theorem is potentially applicable to cellular electrotaxis, here we employ it to help us obtain a phenomenological model of this biological system. |
発表の主要論文 |
Fluctuation theorem applied to Dictyostelium discoideum system J. Phys. Soc. Jpn 10, 105001 (2007) |
※このセミナーは東北学院大学教養学部 情報科学科の協力のもと行われました