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第1回 natural science シンポジウム(2008.07.13)
バラ科の果物の秘密にせまろう!(宮城県農業・園芸総合研究所)

文責:大草 芳江 (2008年12月 2日) カテゴリ:第1回 natural science シンポジウム (2008.07.13)(28)

 バラ科と言えば、バラの花を思い浮かべるのが一般的だろう。では、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、ウメ、アンズ、モモ、アーモンド、リンゴ...、これらの果物の共通点とは何か。実は、どれもバラ科の植物なのである。

 宮城県農業・園芸総合研究所の菊地さんは、「普段何気なく食べている果物にも、いろいろな不思議があるんですよ。よくよく果物の形を見てみてください」と微笑む。バラ科の花は、1枚ずつ分かれた花弁が5枚、ガク片も5枚、雄しべが多数とよく特徴が似ている。一方、バラ科の実の形は実に様々。そこでバラ科の実を、半分に切って、じっくりと観察してみる。すると「この果物のこの形は、あっちの果物のあの形と同じだ」という共通点が見えてくる。

 そもそも果実とは、生物学上、受粉した雌しべの子房が発達した部分を指す。被子植物の種子は子房の中で成熟するから、子房が果実となる部分であり、種子は果実に入っている。このような果実は、植物の繁殖戦略として、種子へ発芽のために子房に栄養を蓄え、動物に栄養として食べさせることにより、種子を散布する目的のために進化したものであると考えられている。

 ところが、種によっては主に発達するのが子房ではなく、花托など他部分の場合もある。例えばイチゴの赤いところは、果実ではない。よくよくルーペで観察してみると、イチゴの表面に種のような粒々がたくさんついており、その粒々から毛のようなものが生えているのがわかるだろう。実は、この粒々の一つ一つが果実、すなわち種を包む子房であり、私たちが美味しく頂いている赤い部分は、雌しべが生える土台の「花托」が肥大化したもの。ちなみに粒々から生えている毛のようなものは、雌しべの残りである。このように、子房以外の部分が発達して果実のように見えるものを「偽果(ぎか=にせものの果実)」と呼ぶ。リンゴやナシも偽果。花托が種子を包み込むように肥大した部分を私たちは食している。

 菊地さん曰く、進化のプロセスで食べられる場所が変化した結果が、それぞれの果物の形なのだとか。参加者は、「果実っておもしろい」「植物と科学の関係性を感じた」「虫メガネで見たり、種の話がすごいと思った」など、普段食べ慣れている果実とは、少し違った印象を受けたようだった。菊地さんは「なんでだろう?と疑問に思うことが大切。学校の帰り道、いつもとは違った視点で、道端に生えている植物を見れたら素敵ですね」と話していた。

出展者の声

1.出展ブースのコンセプトとねらい

 普段何気なく食べている果物にもいろいろな不思議があるにも関わらず,ただおいしい,酸っぱいなどの味の比較だけになっている。このブースでは,バラ科の果物が意外と多い事実,植物学的なおもしろさを通じて,小さな子供から大人まで食用植物に興味を持っていただけるような企画にしました。

2.出展を終えての感想など

 小さな子供にも楽しんでもらえるようにと思いましたが,少し難しかったかもしれません。時間帯の後半に試食を入れると,ずいぶんと興味を持った方々がいたので,食べ比べのようなコンセプトがあればもっと盛り上がったのでしょう。予算,季節的な制約があり,食べ比べはなかなか難しく残念でした。もっとも,説明を聞いていただいた多くの人が,「へぇー」と驚いていってくれたので,興味を引くことには成功したのではないかと考えております。楽しい企画,お誘いいただいてありがとうございました。

3.natural science に対するご意見・要望など

 いろいろな制約のある中で,楽しい企画の立ち上げご苦労様でした。皆様の科学,理科に対する熱い思いを十分に感じることができました。その一方で,自分の小さい頃,科学好きだった連中は,家の内外で素朴に科学のおもしろさに自分で気づいていた気がします。与えられたおもしろさよりも気づいたおもしろさの方がインパクトがありますから,その辺を考慮に入れて次の企画をお願いできればと思います。私たちの企画も含めて,まだ「与えるおもしろさ」になっているかなあと反省しております。是非,次の新しい企画,がんばってください。



Contents 第1回 natural science シンポジウム

第Ⅰ部(報告)

第Ⅱ部(意図)

第Ⅲ部(研究報告)

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