一様媒質中における一般解と具体例
2軸ガウシアンによる光パルスの拡散
様々な方向の波数ベクトルをもつ平面波の重ね合わせることでパルスを形成できることは「【1-4】2軸ガウシアンによる光パルスと電子パルス」で示しました。 つまり、パルスの重心(中心)の進行方向とは異なる波数ベクトルをもつ平面波も含まれるため、時間と共にパルスは広がっていくことになります。 光パルスの広がりを計算し、アニメーションしてみます。
光パルスの重心は光速 c[m/s] で進むため、描画する際の中心座標を
とします。計算結果のアニメーションは次のとおりです。
図のx-y軸のスケールは ×10^{-8}[m] で、時間間隔は 2.0×10^{-5}/c ≒ 6.6×10^{-14}[s]。
ベクトルポテンシャル A の実部
ベクトルポテンシャル A の絶対値
光パルスは進行方向と垂直方向に広がる様子が確認できます。 全方位に拡散する電子パルス(1軸ガウシアンによる電子パルスの拡散 、2軸ガウシアンによる電子パルスの拡散 )とは異なり、光パルスは進行方向には広がりません。 なぜならば、光の平面波は波数ベクトルの大きさによらず光速 c[m/s] で進むため、パルスの進行方向と同じ方向に進む平面波は、異なる波数の大きさでも同じ光速 c で伝搬します。 つまり、光パルスの進行方向には広がることはありません。
プログラムソース
■2軸ガウシアンによる光パルスの拡散Maxwell_pulse2_2.cpp
【目次】シュレディンガー方程式とマクスウェル方程式
- 0.導入
【0-1】はじめに
【0-2】本稿で取り扱う基礎方程式 -
1.一様媒質中における一般解と具体例
【1-1】一般解の表式
【1-2】平面波の時間発展
【1-3】1軸ガウシアンによる光パルスと電子パルス (1軸ガウシアンによる電子パルスの拡散)
【1-4】2軸ガウシアンによる光パルスと電子パルス (2軸ガウシアンによる電子パルスの拡散, 2軸ガウシアンによる光パルスの拡散)
【1-5】3軸ガウシアンによる光パルスと電子パルス
【1-6】垂直1軸ガウシアンによる光ビームと電子ビーム
【1-7】垂直2軸ガウシアンによる光ビームと電子ビーム
【1-8】直線偏光と円偏光
-
2.異なる媒質の境界における電磁波と電子波
【2-1】異なる媒質の境界における波動の一般論
【2-2】電磁波に対する透過係数と反射係数の導出
【2-3】電子波に対する透過係数と反射係数の導出
【2-4】境界面において任意の形状の波に対して時間発展を与える一般表式
【2-5】境界面における平面波電磁波の時間発展
【2-6】境界面における平面波電子波の時間発展
【2-7】境界面における1軸ガウシアンによる光パルスと電子パルスの時間発展
【2-8】境界面における2軸ガウシアンによる光パルスと電子パルスの時間発展
【2-9】境界面における3軸ガウシアンによる光パルスと電子パルスの時間発展
【2-10】境界面における垂直1軸ガウシアンによる光ビームと電子ビームの時間発展
【2-11】境界面における垂直2軸ガウシアンによる光ビームと電子ビームの時間発展
-
3.転送行列法
・電子のトンネル確率
・光のトンネル効果
- 4.1層バリアにおける光パルスと電子パルスのシミュレーション
- 5・ポテンシャル障壁による量子粒子のトンネル時間
- 6・フォトニックバンドギャップによる光パルスのトンネル時間
-
7.無限周期構造中の分散関係,群速度,位相速度
・転送行列とブロッホの定理
・ブロッホ波数と透過係数の関係
・分散関係
・透過係数と群速度の関係
-
8.有限サイズの結晶における光パルスと電子パルスの横断時間
・光パルスと電子パルスの横断時間の導出
・パルス伝搬速度と群速度の関係
-
9.フォトニックバンド端における光パルスの遅延
・1次元フォトニック結晶における透過係数と横断時間の数値計算
・横断時間の解析解
-
10.バンド端における電子パルスの遅延
・1次元クローニッヒ・ペニーモデルにおける透過係数と横断時間の数値計算
・横断時間の解析解
- 11.非周期構造における光パルスと電子パルスと伝搬