iCAN'12 Japan ~第3回国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト 国内予選~ にて ものづくり講座講師陣チームが第4位で予選を通過し、世界大会へ出場します
5月17,18日に仙台で開催された「iCAN'12 Japan ~第3回国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト 国内予選~」(主催:MEMSパークコンソーシアム, 東北大学マイクロシステム融合研究開発センター)に、natural scienceものづくり講座講師陣の八重樫和之(東北大学大学院博士1年)、佐瀬一弥(東北大学大学院修士2年)、松永大樹(東北大学大学院修士2年)、藤原脩(東北大学4年)、渡辺慶太郎(東北大学2年)のグループが出場し、第4位で予選を通過し7月に中国北京で行われる世界大会へ出場します。
iCAN'12について(iCAN'12日本予選のWebページより抜粋)
MEMS デバイスを用いたアプリケーションを提案し、試作した成果を競う国際コンテストです。対象は高校生、高専生、専門学校生、大学生、大学院生のチームです。世界各国・地域で予選を行い、2012 年 7 月に北京で本選を行います。
日本予選当日
日本予選は2日間行われ、1日目はせんだいメディアテークで一般市民を対象にポスターによる説明、2日目は東北大学片平さくらホールで審査委員の前でプレゼンテーションによる説明を行いました。今回の大会は高校、高専、大学生合わせて10チームが参加しました。
natural science ものづくり講座講師陣チーム Team natural scienceのアプリケーション
文責:八重樫和之
開発に至った背景
近年、インターネットによる通信販売やオークションが普及しているため、誰もが気軽に出品者にも購入者にもなることができる。様々な商品がインターネット上で売り買いされているが、服や家電といった寸法や形状が重要な商品を通信販売で購入した場合、予想に反して寸法が合わない、想定と違う形状であったことに気づくという失敗談も多い。 このような現状を踏まえ、我々は誰もが容易に商品の形状を測定でき、その形状データを誰もが身近に再現するアプリケーションがコンパクトかつ安価に開発できればこのような問題は減るのではないかと考えた。そこで、今回、光スキャナというMEMSのデバイス、ウェブカメラ、パソコンを用いて物体の3次元形状を測定し、その測定データを拡張現実の技術によりスマートフォンで立体的に可視化させることで、上記のアプリケーションを安価に実現できるのではないかと考え、開発を行った。
開発したアプリケーション iScan
我々が開発したアプリケーションiScanは「誰でもどこでも手軽に3次元形状をスキャン&可視化できるアプリケーション」である。本アプリケーションは、光スキャナを用いてオブジェクトにレーザーを当てる「iLaser system」, ウェブカメラとパソコンを用いてオブジェクトの形状を計算するソフトウェア、生成した3次元データをスマートフォン上で表示させるソフトウェアの3つで構成されている。
形状データの測定原理
文責:松永大樹
ウェブカメラとiLaserの距離をdと固定すると,照射するレーザー光の角度θとカメラが読み取った角度αは既知であるため⊿ABCが一意に決まる.したがって未知数d1,d2およびLが全て計算により求まり,オブジェクトの相対位置を決定できる.
iLaser systemの設計
文責:佐瀬一弥
iLaser systemはオブジェクトにレーザー光を照射する装置であり、光学系、制御系、機構系で構成される。光学系は、レーザポインタ、ミラー、1軸光スキャナで構成され、レーザー光を円弧状に放射する。1軸光スキャナは、iCAN'12日本事務局より提供いただいた日本信号社製ESS111Aを用いた。制御系は光スキャナを駆動するための信号生成および電源供給を行い、機構系は光学系の上下振りを可能とする。今後は、上下振りの自動化、3次元形状復元ソフトウェアとの連携を行う。
NI社LabVIEW, NI VISION開発モジュールを用いたソフトウェア開発
文責:八重樫和之
形状データを作成するため、 NI社LabVIEW, NI VISION開発モジュールを用いてソフトウェアを開発した。ウェブカメラから撮影した画像からオブジェクトに当たった光の座標を検出し、レーザーの角度からオブジェクトまでの距離を計算することで、3次元の頂点データを作成する。
AR(拡張現実)技術によるスマートフォン上の表示
文責:藤原脩
測定した頂点データをAR(拡張現実)技術を用いてスマートフォン上に表示する。下図に実際の表示例を示す。ここでは、測定した各頂点座標に小さなキューブを配置することで物体の3次元形状を再現している。ARを用いることで、ネット通販の例のように、測定した物体が実際にはどのように見えるかということを確認することができる。現状ではパソコン-スマートフォン間の通信によりデータ転送を行っているが、今後はインターネット通信によりデータ転送を行えるよう改良していく。
発表の様子と表彰式
アプリケーションの説明は、ポスター発表とプレゼンテーションにより行い審査を受けました。審査の結果、4位に入賞し、iCAN'12世界大会の出場権を得ることができました。
評価員の方からは、MEMSデバイスのうち、センサを使った事例は多いが、アクチュエータである光スキャナを用いたアプリケーションの発表は、大会が始まって以来初めてであったこと
・開発のモチベーションがわかりやすかったこと
・世界大会で戦える見込みがあるということ
という点を評価して頂きました。我々ものづくり講座講師陣は、世界大会に向けて、引き続き開発に励んでいきます。
パブリシティ
大会当日の様子が、河北新報2012年5月22日付朝刊で取り上げられました。
予選4位なので、名前しか登場しませんが。
稲葉章浩 (2012年5月22日 23:11)
世界大会出場、おめでとうございます。
光スキャナ、良いですね。加速度センサーが多い中、まさに光ってましたよ。
郡山北高校さんの「ココあるっち」は完成度が高く、素晴らしかったですが、
「iScan」も、プロトタイプとしての完成度高いと思いました。
個人的には、もっと高い順位と思います。
北京でのご活躍を祈っています。