スキー場でなにができるのか?科学と計画と事前実験(第7回「雪の教室」の予備実験)
今回の自然科学の教室は2007年2月、真冬です。
仙台近郊、冬の自然科学教室の舞台といえば・・・、
スタッフの脳裏に真っ先に思い浮かんだのは、雪、山、・・・。
ということで、今回は「雪の教室」を開催することになりました。
開催場所はスプリングバレー泉高原スキー場です。
さて、スキー場で何ができるだろうか?いろいろ調べる。考える。試してみる。話し合う。
11月、12月の打ち合わせの結果、以下の3本柱で行うことにしました。
(1)雪のもよう
(2)雪上光実験室
(3)水と氷
「雪のもよう」では、
顕微鏡を用いた雪の結晶の観察や、雪の結晶の作成、さらには雪の保存を試みます。
こちらは林さん、大内さんが担当です。
「雪上光実験室」では、分光器を使って雪原での光量(UV量)を実感したり、
氷の中の結晶状態の観察を行います。こちらは大野さん、八重樫さんの担当です。
そして、「水と氷」では、氷から水、水から氷への状態変化に関連して起こる不思議な現象を観察したいと思っています。
永関さんと、大塚さん、そして泉田で行います。
「氷と水」
温度を下げると、0℃を境に水は氷になるというのはよく知られています。
気温が氷点下を下回れば雨は雪になるし、冷凍庫では氷ができます。
でもちょっと条件をかえると氷点下でも水(液体)のままだったりします。
例えば水に塩を入れると凝固点降下を起こします。すなわち凍る温度が0℃よりも低くなります。
雪に塩をまくと雪が溶けるのは凝固点降下で説明できます。
また、氷に塩を加えると氷が溶け、そのときに周りから熱を奪うという性質を使ってアイスクリームをつくることができます。
(アイスクリームに関しては永関さんのページにも説明があります。)
また、ゆ~っくりと水を冷やすと、氷点下になっても水のままだったりします。このような水を過冷却水と呼びます。
0℃以下の水、というだけでもおもしろいですが、もっとおもしろいのは、過冷却水にちょっと刺激を与えると水が一瞬で氷になるということです。
当日は、アイスクリームをつくったり、過冷却水が一瞬で凍る様子を観察することで、
水と氷の状態変化に関係したいろんな不思議を実感したいと思っています。
事前実験
アイスクリーム:
レシピ通りにアイスクリームの素(液体)をつくります。 大きなボールに氷と塩を入れ、そこにアイスクリームの素をいれた 小さなボールを浸します。 そしてあとはただひたすらアイスクリームの素を混ぜます。 塩を入れた氷は徐々に溶け、アイスクリームの素が冷やされます。 5~10分くらい経つと、急にかき混ぜる手に手応えを感じます。 アイスクリームのできあがりです。
過冷却:
さて一方の過冷却です。こちらは条件出しになかなか手間取りました。
いろんな方法で水を冷やしてみますが、氷点下まで下がった水はすでに凍っています。
いろいろ試してみてわかったのですが、静かに均一に水の温度を下げることがとても重要です。
そのためには工夫をしなくてはいけません。
どうやったら静かに均一に温度を下げられるだろうかといろいろ試行錯誤し、ようやく過冷却状態を作りだせました。
当日は、どんなふうに過冷却状態を作るのか、それがどんなふうに凍っていくのかが
みられるはずです。
乞ご期待!
『水が一瞬にして氷になる?!
水から氷への状態変化や、氷の結晶を観察します。
アイスクリームも作ります。』
が「水と氷」のキャッチフレーズです。
さて、「雪のもよう」「雪上光実験室」「水と氷」では、それぞれ違うことを行っているようにも見えますが、実はいろんな共通性もあるのです。
雪の結晶ができるメカニズムと、過冷却水の凍結には、同じカラクリがあります。
実験でできた氷の結晶を、光実験室の偏光板を通して観ると、とてもきれいですよ。
アイスクリームの寒剤は過冷却実験でも使います。
当日は4ブースとミニサイエンスカフェが開設される予定です。
各実験のいろんな関連性をみながら回ってみるのもいいかもしれませんね。
いろんな観点から「雪の教室」を楽しんでください。
過冷却氷を偏光板を通して観察する