日本物理学会・発表を終えて
先日の日本物理学会第62回年次大会(2007.9/21-24 北海道大学)では、領域13にて、
「大学の枠を超えた、学生・若手研究者主体のNPO法人『natural science』の取組み」
というタイトルで発表させていただきました。
※発表内容については、こちらをご覧下さい。
http://www.natural-science.or.jp/activities/conference/yoshie_2007_09.php
昨今は、「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業(文部科学省)」にも見られるように、
若手研究者の視野を広げ、大学以外の場でも主体的に社会に関わっていけるような
人材を育成しようという動きが、国レベルで盛んになっていることもあり、
(結果として)タイムリーな発表となりました。
また、同じように学生・若手研究者主体の組織の立ち上げを考えている
他大学の教員や学生も多数いたようで、様々な質疑を受けました。
今回頂いた質疑の中で、皆さんが疑問に思われそうなものを、少しご紹介します。
■「日々の研究に追われている研究者も多いと思うが、拘束時間はどれくらいなのか?」
⇒以下の2パターンから、都合の良い参加形態を、研究者自身に選んで頂いています。
①「体験型自然科学の教室」に参加する場合
月1回程度の打ち合わせと、事前・事後の打ち合わせ。
②「週末研究」に参加する場合
毎週土曜日(午後)の自主研究とWEBでの経過報告、サイエンスカフェでの発表(サイエンスカフェは任意)
■「natural scienceに参加している若手研究者は、大学や研究所での研究よりも、natural scienceでの自主的な研究の方が、価値があると思って参加しているのか?」
⇒参加研究者は、もちろん日々の研究に対してもその価値を見い出し研究を行っていますが、
人間ひとつのことばかりに集中していると、どうしても視野が狭くなってしまうことがあります。
そのため、普段とは異なる分野で、かつ研究者自身の好奇心からはじまる研究を行うことによって、
結果として、日常の研究へ、非常によい形でフィードバックがかかると言う声を、参加研究者から聞いています。
最後に学会を終えての感想となりますが、本発表でもやはり
「他者に伝えたいことを伝える」難しさを、改めて感じました。
主観的な言葉では伝わりきらない思いを、如何に多くの既成事実によって、客観的に伝えていくか。
そして、結果として、伝えたいことが他者に伝わる構図を、如何につくっていけるか。
これは、単なる言葉の使い方、という問題ではなく、
natural scienceが今後どのような価値を社会へ提供できるか、という問いと同義であると考えています。
そこが、これから私が一番苦しむべきところであり、
それでいて、一番面白いところであると、思っています。