【第1回実験報告】ボルボックスー判断のモデル生物
ボルボックスを観察すると、いろんな動きをするものがいます。ずっとその場でくるくる回っていたり、急いで通り過ぎていってしまったり。彼らが何を考え、何を判断し、そのような動きをしているのか調べてみよう。
研究の目的
ボルボックスには正の走光性と負の走電性があり、2つの刺激を与えられたとき、それらの情報を同時に処理することができるが、不自然に回転運動をするものもみられた。
これは、2つ刺激がストレスとなって、情報をうまく統合できていないのが原因なのだろうか。ある集団のなかで、情報の統合に失敗したボルボックスがどのくらいの割合でいるのかを調べてみることにした。
実験装置
3cm×3cmのアクリルのシャーレに3mlのボルボックスの入った溶液をいれる。
両端の溝にアルミ板を差込み、電場をかける。一方向からLEDで光を当てる。
実験条件
(1)電場のみの単一刺激を与える
強度は以下のとおり
電場 2(V/30mm) 4(V/30mm) 6(V/30mm) 8(V/30mm)
(2)電場と光の複合刺激を与える
強度は以下のとおり
電場 2(V/30mm) 4(V/30mm) 6(V/30mm) 8(V/30mm)
光 0(V) 4(V) 5(V) (LEDにかけた電圧)
(3)室内の蛍光灯を消し、暗室内で行う。
(4)単一刺激のみの場合は、数時間光に慣れさせてから行う。
実験の解析
ボルボックスは自転をしながら進むが、その自転軸と進行方向が一致しないものを統合失調症と呼ぶことにする。
ボルボックスは、自転をしながららせん状に進んでいた。
自転軸は進行方向に向いているがらせんの感覚が広いものと狭いものがあった。
実験結果
電場の強さ、光の強さごとに不自然な動きをするボルボックスの割合を調べた結果以下のグラフのようになった。
単一刺激の場合、かける電圧を高くするにつれて、不自然な動きをするボルボックスの割合は減っていった。
考察
単一刺激で電場を高くするにつれて、よりしっかりと判断がすることができるため、不自然な動きをするボルボックスが減っていくのだろうか?しかし、複合刺激で電場8(v/3mm)・光5vの場合と、単一刺激の電場8(v/3mm)比べても、あまり差がないようにみえる。 原因として、サンプルの差とデータの不足が挙がる。
今後の課題
・他の電圧・光の強度の条件で実験をおこなう
・サンプルによってボルボックスの平均の移動速度が違うので、ほぼ同一になるよう培養し調整する。