野菜は変温動物か!?(第10回「雪の教室」)
夏の野菜と冬の野菜、土の中で育つ野菜と地上で育つ野菜
どっちが寒さに強いのだろう!?
水って何度で凍るかしっているかな?水は0度で凍ります。
でも、中には0度以下でも凍らない水があるんだよ。
例えば、今回の冬の教室でも活躍した食塩水は当日の気温-5度でも凍りませんでした。
塩が溶けている分、何も解けていない水よりも凍りにくくなっているんだよ。
野菜の持っている水分だって、水そのものじゃないよね。
野菜の味の素になる、色んな物質が溶けているはず。
今回の実験の目的は、野菜の「体液」がどれくらい寒さに強いのか?
というのを夏野菜・冬野菜、また土の中にいる野菜・地上にいる野菜で比べてみようというものでした。
もちろん、野菜の寒さ対策は「体液」だけではないのですが
今回は「体液」に注目して実験してみました。
準備したもの
夏の地上野菜 とまと
冬の地上野菜 いちご
夏の地下野菜 にんにく
冬の地下野菜 だいこん
方法
野菜たちをおろし金ですりおろす。
すりおろしたものを、ガーゼで濾す。
野菜の「体液」抽出完了!
当初の予定では、一様に低い温度から高い温度まで傾きを作った亜鉛板の上に野菜の「体液」を一滴ずつたらし、どの温度で凍るかを確かめる予定でした。
しかし 失敗・・・
一様な温度勾配を作ることができなかった。
亜鉛板の下にドライアイスを敷いているのだけれどドライアイスと亜鉛板の間に空気の隙間が出来て、
4種類の野菜の「体液」を落とすために必要な、ある程度広範囲の「同じ温度の領域」を作ることができなかった。
そこで・・・
一枚のドライアイスの上で(=同じ温度条件で)、同量の野菜の「体液」をたらしどれから凍るか検討しようとするが、
「同時」に4種の「体液」をたらすのが困難・・とうか、無理なので断念
それでは・・・と
一枚のドライアイスの上で(=同じ温度条件で)、それぞれの「体液」が凍るまで
何秒要するのかをはかってみることにした。
野菜ごとでは、凍り方がちがうかな?
スプーンいっぱい分の野菜の「体液」が何秒で完全に凍るかを調べるために、
ドライアイスの上で10秒ごとに写真をとり観察しました。
にんにくは、カップの中で凍ってしまって実験不可能でした。
だいこんは、写真が取れていなかったみたいで、残念ながらお見せできません。。
トマトとイチゴ(夏と冬の地上にできる野菜代表)では、どっちが寒さに強いでしょうか。
結果
皆さん、もうお気づきかな?
どの野菜が早くドライアイスの上で凍ったのか!?というのは、
今回の実験では見つけることができませんでした。
まず、同じ「スプーン一杯」の量でも、
強い風がふいたり、あるいはドライアイスが平坦でないために、下にこぼれてしまいました。
下にこぼれた方が、量が少なくなります。
少ないほうが早く凍りますから、これでは比較ができません。
また、ドライアイスから落ちていなくても、ドライアイス上で広がってしまいました。
表面積が大きくなったら、ドライアイスとの設置面積が大きいほうが
早く凍りますね。冷たい風に吹かれる面積も大きくなるので、相乗効果で早く凍ります。
これも、凍るまでの時間の違いは、
「体液」の性質の違いというよりは、表面積の大きさの違いと考えたほうがよさそうです。
今回の実験方法では、どの野菜が寒さに強いか、一つの結論を導くことはできませんでした。
今回は、野菜の「体液」の耐寒比べをしたかったのですが
スキー場で行っているのに、
風が吹いたら出来なくなる実験方法は、この目的に適していなかったようです。
では、どんな方法ならできたのか?
風がふいても、気温が変化しても、定量化できる野菜の体液くらべをする方法。
それは難しいと思います。
環境が変化すれば、野菜の種類が違うから、という結論に導くことは出来ません。
スキー場で行う実験として「野菜の体液比べ」は不適でした。
次回以降の、外で行う実験の反省としたいと思います。