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ビデオによるオオツノハリアリのコロニーの観察

文責:八重樫 和之 (2008年4月12日) カテゴリ:トゲオオハリアリの女王が示すパトロール行動解析とモデル化(20)

今回の疑問

今まで、アリの実験結果・観察結果のみをもとにアリのコロニーのシミュレーションを行っていた。しかし、自分自身が出した疑問点を切り口にしないと、確かめるだけのシミュレーションになってしまう。では、本物のアリのコロニーはどのようなものなのだろうか?


監査方法~今日観察したビデオについて~

オオツノハリアリの研究をしている琉球大の実験室で撮影されたものである。なぜビデオを用いたかと言うと、自分で実験系を作り観察するのに対して、実験条件が整っている、観察中に発見したら繰り返し観察できる等のメリットがあるためである。
・温度・湿度・明るさというアリの巣の中の環境をそろえた上でコロニーサイズ(アリの数)のみを変化させている
→実際に実験しようとすると、巣の中の環境等の条件を合わせるのが大変
・色分けしているので女王がわかりやすい
→女王を見つけること・印をつけるのが難しい(間違って女王を殺してしまうとコロニー消滅の危機)
・ビデオなので倍速で観察できる


観察結果~ビデオを見て気づいたこと~

N=67ビデオで気づいたこと

・普段は女王にワーカーが寄ってくるように見える
・女王が動き出すと一度に複数に接触しようとする。
・この接触頻度が明らかにワーカーと異なる。
・1時間の中で動き出したのは00:15,14:35の二回のみ。
・すなわちほとんどの時間、女王は同じ位置にいる。
・workerは女王を囲みにくる

N=98ビデオで気づいたこと

・女王蟻は基本的に休んでいる
・そこにworkerが接触しにきている
・女王がパトロールすることによって接触するworkerよりも、workerの方から接触してくる場合の方が多い
・最後にworkerと接触した時間が長い場合、次のパトロール時間が長くなる
→女王はworkerの卵巣の発達状況を知れる。そこで、卵巣が発達したworkerは接触時間が長い?また、卵巣が発達したworkerがいるという情報によって、女王のパトロール時間は長くなる?
・しかし、女王とworkerが接触しても女王が休んでいる場合がほとんど
・workerにも休んでいるworkerと動いてるworkerがいる。
・女王がパトロールで接触するのは休んでいるworker
・動いているworkerが逃げたとしても女王は別に追わない
→workerの方から接触してくるからか?
・女王蟻には他方請うから接触している

N=88で気づいたこと

・アリはとかく止まっている時間が長い
workerの止まるアルゴリズムって?
・女王蟻は集団のなかに身をうずめる?
→その後さらにworkerが女王によってくる
・workerのなかに、接触せずに女王から逃げるアリがいる
→近距離であればworkerは女王を視覚認識できる?


考察~ビデオを見て考えたこと~

workerが女王と接触する手段は二種類あるのではないだろうか?
①直接触角で触れる場合
②触覚よりも遠距離で認識する場合
②については視覚によるもの、あるいは女王の体表物質をworkerが認識してる場合の二つが考えられる。
図示すると以下の通り。
シミュレーションをする際、①②を分ければ②の判断材料は特に問題にならないことがわかる。


今後に向けて~蟻の観察事実を踏まえて~

以前の認識では、「すべてのworkerは常に動いている」と仮定してシミュレーションを行っていた。しかし、今回の観察からworker自体も「休むworker,動くworker」の二種類が存在し、女王との接触の様子も異なることがわかった。そこで、今後はworkerの行動パターンも考慮に入れて「コロニーにおける女王が巡回する時間と休憩時間が数学的にどうなっているか?」を考えたい。



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