第12回体験型自然科学の教室「海の教室」
蒲生干潟の環境を「はかる」エコツアー
8月3日午前10時の蒲生干潟。今まで海だったところが、潮が引くにつれ、どんどん地面が見えていた。すると、これまで見えなかった生きものたちの「くらし」が見えてきた。豊かな生きものたちの世界を、蒲生干潟の環境を「はかる」エコツアーで発見しよう!
今回「はかる」のは、生きものの数と種類と非常にシンプル。しかしながら「はかる」行為を通して見えるのは、生きものたちの「くらし」。そして生きものたちの「くらし」がつくる環境だ、と林かがくしゃは言う。環境を「はかる」エコツアーでは、自然を普段とは少し違う角度から、見て、触って、感じることができる。
環境を「はかる」方法を伝授する林かがくしゃ。単純な動作ひとつひとつにも、「はかる」ことを通して自然の何を見たいのか、その思いが込められる。「科学」の自然に対する姿勢である。
「卵をいっぱいもってるカニを見つけたよ!」「これがみんな、赤ちゃんになるんだね」「・・・すごいなぁ」
「きれいな貝を見つけたんだ。ほら、うらがわがいろいろな色に光っているでしょう」
「ほら、貝が二枚くっついているやつを見つけたんだ。でも一枚だけの貝ばかりなのは、なんでなんだろう?」
「アサリの中に、アサリが入ってる!!!」中身が入っているアサリを見つけた子どもが興奮した様子で話す。
「すぐ逃げちゃう!気づかれないようにそっと近づいたのに、なんでカニはわかったんだろう?」
掘ってみたり、石をどかしたり、泥をふるいをかけたりして、様々な生きものたちを探す。
「はじめは土の上に座るのを嫌がっていたんですけど、今はこの姿勢がすっかり気に入っちゃって」とお母さん。泥をペタペタ、海をペタペタ、繰り返し叩いている。子ども独自のルールをつくり、それをひとつひとつ、自らの手で確かめているようにも見えた。言葉にはならなくとも、子ども達は小さな体いっぱいで、自然と対話しているようだ。
「めずらしいもようを見つけたよ!貝の赤ちゃんなのかな」
「変な中身がある貝を見つけたよ。なんでこんなに変なの?」
「あっ、カニが巣に逃げていく!つかまえなきゃ!!あ、巣から出てきたよ!とれっ!」巣穴の砂も一緒に、カニをつかまえた。
「ぬめぬめしてた」
「土に、波ができてる」つい先ほどまでは海だったのに、いつの間にか、陸になっている。自然は自らの記録を、自らの身に刻みつけていく。そのひとつひとつを、子ども達は発見していく。
「お団子いっぱいだね」いつの間にか、海水が引いた地面の上には、無数の土団子ができていた。わずか1~2時間ほどで、突如あらわれる土団子。大きいもの・小さいものがある。
「土、みどりいね」別の地点では、土団子は見られないが、地面がうっすらと緑色になっているがわかる。大小様々な大きさの穴がある。
「なんでここだけ、土の色がちがうの?」
巣穴に指を突っ込んでみると、さらさらと崩れる巣穴もあれば、ヌメッとするが壊れない巣穴などがあった。
「ここ、掘ってみようぜ」いつの間にか、子どもたち同士の協力体制ができているようだ。
お父さんが大きなスコップで掘る土。「お、下の方の土は、黒いな」
「プランクトンネット」で、プランクトンを採集。土をとらないよう注意しながら、海水をゆっくりとすくい、海中のプランクトンを採る。
プランクトンネットで採集した海水を見る。「何かいるかなぁ・・・、あ、小さいのが動いてる!」
みんなで集めてきた生きものたち。発見した結果を報告しあった。
生きものの種類を調べて数を数え、生きものの行動を報告する。そのひとつひとつが、生きものの「くらし」を知るためのヒントになる。
生きものの「くらし」を知るために、林かがくしゃが取り出しのは、アサリ。
濁った海水に、アサリを入れたもの(右)と、入れないもの(左)。アサリを入れた海水は、20分ほどで濁りが取れて透明になった。これは、アサリが水中にある餌をこしとって食べるためとか。こんなに小さな生きものだが、餌を食べて成長していくことが、干潟の水を浄化してくれることになる。
環境を「はかる」エコツアーで見えた、生きものたちの世界とは?かがくしゃからの視点は、林かがくしゃのページ(報告ページ)をぜひご覧下さい。