コンピュータサイエンス体験講座 実施報告
サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)とは?
SPPは、文部科学省の外郭団体である科学技術振興機関が実施しているプロジェクトです。児童生徒の科学技術、理科・数学に 対する興味・関心と知的探求心等を育成することを目的として行われています。本科学教育プログラム「コンピュータサイエン ス」はSPPの採択を受け、東北学院大学教養学部と東北学院榴ケ岡高校との高大連携によりNPO法人 natural scienceが実施機 関として、実習を中心とした体験的・問題解決的な講座を開催しています。
コンピュータサイエンス体験講座の内容
自然を言葉にし、その移り変わりを予測したいというのは人間の昔からの願いでした。自然現象を解明するために、自然現象の
本質的な要素を切り出し、要素同士の因果関係を考え、単純化したモデルの構築を行います。構築したモデルにもとづき、コン
ピュータシミュレーションを行い、自然現象を説明する因果関係を探求します。
本科学教育プログラムでは自然現象からのアルゴリズムの構築に主眼を置き、様々な自然現象に対してコンピュータシミュレ
ーションをおこなうことで、自然の法則を探求します。コンピュータシミュレーション体験講座では、物体の運動を題材に、物
体の運動を日本語で表現することから始め、より厳密な数学の言葉に変換し、最後にプログラミング言語に翻訳します。コンピ
ュータ画面上で物体が運動する様子をシミュレーションします。
実施当日の様子
サイエンスパートナシップの採択を受け、東北学院大学榴ケ岡高等学校の生徒、約30名に対し、コンピュータサイエンスの体験
講座が行われました。
当日は、東北学院大学教養学部の情報科学実験室で、榴ケ岡高等学校の副校長の湯本先生、情報の教諭の河田先生が引率の先
生として来られ、教養学部からは、菅原先生が来られました。
授業は、NPO法人 natural scienceの林が行い、ティーチングアシスタントとして、教養学部情報科学科の3年生と4年生が参加
しました。まず湯本先生から、学問的に意義があることを、高校3年生の今から始めることが重要だという話があり、高校と大
学との連携の中で、このような教室が開かれることの意義が話されました。
授業の開始は「サイエンスとは、なにか?」という問いかけから始まり、自然に規則性を見出し、因果関係のストーリーをつく
ることを話し、得られた原理から、移り変わる自然現象を予測するというサイエンスの本質的な部分の話しをしました。
コンピュータシミュレーションは、単にC言語を使ったプログラミングという手法ではなく、自然を探求するため、未来の運動
を予測するためのツールです。今回の90分の授業では、ボールの運動を記述するための、運動の必要最小限の因果関係を記述す
る式の導出を行い、コンピュータ画面上でボールを等速運動させました。
課題として、ボールが壁によって反射する様子を生徒ひとりひとりが試行錯誤しながら、シミュレーションしました。試行錯誤
の中で、運動の本質的な要素を切り出し、因果関係を考えるのは面白かったようで、「できた!」「やった!」という声がたく
さん教室から聞こえました。
今後は、ボールの放物線運動の解明を目指して、毎週水曜日に「コンピュータサイエンス」定期講座が始まります。
第1回目は、11月5日の16:15~17:45に、教養学部情報科学科の4号館2階の情報科学実験室で行われます。