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円運動でリズムはでるのか

文責:田村 友里恵 (2008年11月29日) カテゴリ:ヒトの運動制御におけるリズム生成の必要性(4)

円運動とリズム

視覚追従実験ではターゲットが一定以上の速さの時、マウスはリズムをもってターゲットを追いかけていることが分かった。 では、ターゲットを追いかけない場合、すなわち、ただマウスで円運動した時に、リズムは出るのだろうか。 もしも出るとすれば、ターゲットを追いかけている時とのリズムの出方に違いはあるのだろうか。

仮説

ある一定以上の速さで円運動をした場合にもリズムは出るのではないかと考える。
マウスを動かす手の動作として、前方(3/2π~1/2π)に動かすほうが動かしやすく、 後方(1/2π~3/2π)に動かすほうが動かしにくいと考えられるからだ。
普段の生活でいうならば、ドアを開ける時を考えるとわかりやすい。 ドアは、押すよりも、引く方が開けにくい、というのは誰でも経験のあることだろう。

実験方法

今回、前述の視覚追従実験と比較するための実験を行う(比較するのは「リズム」についてである)。 よって、今回行う実験系・実験条件は、視覚追従実験の実験系と基本的には同じにする。 異なる点は以下のとおりである。詳しい実験条件(被験者に何をどう言うかなど)については他で述べることにする。
1. 普通の視覚追従実験を、ターゲットが無い状態で行う。
2. 円運動する速度はだいたい0.1Hz,0.3Hz, 0.5Hz, 0.7Hzと同じくらいに合わせてもらう。 (最初にそれぞれの周波数のターゲットを実際に追いかけ、だい たいの速度を把握する。)
3. 円周上か、円周の外を同じくらいの速さで円運動する。
4. 各速さ1回30秒間、十回ずつ行う。

実験結果

繰り返しになるが、今一度リズムと呼んでいるものが何かを思い出す。 いま、普通の視覚追従実験においてリズムと呼んでいるのは、速度のフーリエ変換で、 ターゲットの周波数と、その2倍の周波数においてピークが出ている、そのピークである。 これをもとに、実験結果を見てみる。
実験結果は下に示した通りである。上から0.1Hz, 0.3Hz, 0.5Hz, 0.7Hzで、 それぞれ左が普通の視覚追従実験、右がターゲットなしで円運動した場合の速度のフーリエ変換のグラフである。

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今回の実験では円運動するとき、速さの違いによらず、0.1Hz~0.7Hz間でリズムの生成は見られなかった。 つまり、ただ円運動するだけでは0.1Hz~0.7Hz間ではリズムは生じず、 ターゲットを追いかけることによってリズムが生まれることが分かった。
ここから生じる問題として、リズムの強さが何に依るものなのかということが挙げられる。 周波数ごとにリズムの強さが違う。同じ周波数でも一回一回の結果によってリズムの強さが違う。 さて、リズムの強さは何に依るのだろうか。次の問題として、このことについて考えてみる。



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