n-1グランプリ in autumn
気球をシミュレート
n-1は、気球を飛ばし、滞空時間を競いました。
競技では、より長い時間、浮遊を続けるようにするためにいろいろな工夫が見られました。重さを軽くする、袋を大きくする、熱が逃げないようにするなど様々です。
直観的にどこを直せばもっとうまくいくだろうと、推測できますが、実際につくった気球には、どのくらいの温度が必要で、どのくらい軽くする必要があるでしょうか。
今回の教室では、気球の温度測定装置とコンピュータシミュレーションプログラムを準備しました。これらの具体的な内容と当日の状況を報告します。
温度測定装置
温度測定装置は、熱電対という温度センサからの情報を、コンピュータで処理し、温度を表示します。
図1 温度測定装置のプログラム
時間がたつとともに温度の上がるようすも記録することができます。
しかし、実際に測定してみると、およそ80℃までしか上がりませんでした。
理論的には気球が飛ぶためにはもっと高い温度が必要です。気球の中の温度を測るには袋の上部に穴をあけることなどが原因で、正確な測定ができなかったようです。
気球シミュレーション
理想的な場合を考えて、運動方程式を立ててみました。
コンピュータをつかって、気球の質量、体積、空気の密度、内部の温度、外気の温度を入力すると、気球の加速度を計算し気球の飛ぶ様子のアニメーション表示します。
図1は、初期画面です。空欄に各種パラメータを入力します。図1では、気球内の温度と外気の温度を同じにしました。このときは、ただ落ちるのみです。
図2 気球内と外気の温度が等しいとき
図3 下に落ちていきます
画面から消えていくと、気球の重さをどのくらい軽くすればよいか、あるいは、温度を何度あげればよいかを表示します。
図4 メッセージを表示
気球内の温度を上げていくと、下のような結果になります。
図5 気球内の温度が高いとき
図6 上がっていきます
図7 うまく飛びそうですと表示されます
シミュレーション結果から、気球の体積45l、質量15g、外気温20℃、空気の密度1.293kg/m^3のときは、気球内の温度を130℃まで上げる必要があることがわかりました。必要な温度が袋の耐熱温度をうわまわると、袋が溶けてしまいます。
まとめ
気球をより理論的に定量的に考察することを目的として、温度測定装置を構築しました。しかし、現実世界で気球内の温度を測るのは困難でした。ただ、温度センサをパソコンとつなげるだけでなく、観測対象の気球もできるだけ理想的な環境に組み込む必要性を感じます。
今回の温度測定の失敗を解決すべく、今後も気球をはかる装置の開発を進めていき、随時、報告していきます。
ダウンロード
■balloon_simulation.zip (141KB)