論文へ向けた研究内容の整理
今までの学会発表、国際学会並行セミナーの内容を図なしで箇条書きでまとめる。
- ・トゲオオハリアリとは一匹一匹の役割を分担することで環境の変化に対応して生きていく社会性昆虫である
- ・トゲオオハリアリはほぼすべてメスであり、女王になることができる
- ・コロニー(アリの巣)から女王を排除するとワーカー(働きアリ)の卵巣が発達する
- ・女王がパトロール活動を行いワーカーに接触するとワーカーの卵巣の発達が抑制される
- ・すなわち、女王蟻は一定時間以内にすべてのわーかーに接触しなければならない
- ・本研究はトゲオオハリアリのコロニー内での行動について実験、アルゴリズムを抽出するシミュレーション、アリの習性を応用した群ロボットへの応用という3本柱で行う
- ・トゲオオハリアリのコロニー全体について注目する
- ・コロニー内で活動しているアリの割合を「活動度」,女王がパトロールを完了するまでに掛かる時間を「QTA時間(The time for Queen Touching All ants)」を定義する
- ・トゲオオハリアリのコロニーについて画像解析を行い、1秒当たりに何割のアリが動いていいるかという「活動度」を測定するとわずか6~10%程度であった
- ・なぜこれほどに活動度が低いのか、活動度を大きくした方が「QTAtime」は大きくなるのではないかと考えた
- ・そこで、格子モデルでありの進行方向をすべてランダムにし、「活動度」を大きくした場合の「QTAtime」を測定するシミュレーションを行った
- ・すると、「活動度」が大きいほど「QTAtime」は小さい、すなわちアリが活動度のみを変動させランダムに動くのであればできるだけ多くのありが動いていた方が女王のパトロールの効率がいいことがわかる
- ・以上から、トゲオオハリアリのコロニーには単に活動度を変化セルということ以外に、女王がパトロール活動を行いやすくするための何らかのアルゴリズムを持っていると考えられる
- ・改めてトゲオオハリアリを観察すると、ワーカーが女王を囲むように集まり、女王が移動するたびにワーカーが追従していくように見える
- ・以上の実験、観察事実から今後は女王とワーカーのベクトルの関係、そして「活動度」の時間変化と女王の活動の時間変化の関係に注目し実験を行っていく予定である