国際学会へ行こうストーリー 第一章:疑問からのスタート
はじめに
疑問を解決するためにはどう考え何をすればいいのか?この思考は勉強をして試験問題を解くという過程とは全く違う。自分はどのような仮説を考えるのか、それを確かめるにはどのような実験をするとよいか、出てきた結果をどのように捉えるか、仮説と結果との比較を行い次をどうするかを考える。この繰り返しからどこまで何が言えて、どう伝えるか組みたてるか。 「国際学会へ行こうプロジェクト」は対象への疑問に対して自分自身のストーリーを組み立ててきた一年間であった。
第一章:疑問からのスタート
2008年の1月のこと。トゲオオハリアリという亜熱帯に生息する社会性昆虫。このトゲオオハリアリの先行研究を聞くところから始まる。トゲオオハリアリには女王アリ(以下女王)と働きアリであるワーカー(以下ワーカー)がいる。すべてのワーカーはある条件を満たすと卵巣を発達させて産卵することができる。その条件は、女王から一定時間隔離すること。するとワーカーの卵巣は発達する。逆に女王がワーカーに接触するとワーカーの卵巣発達が抑制される。 つまり、女王蟻は一定時間以内にすべてのワーカーに接触する必要があるのである。 この先行研究を聞いたとき、私は「女王もワーカーの接触するためには常に活発に動いてるはずだ」と思った。 しかし、実際にトゲオオハリアリのビデオを見るとほとんどのアリが休んでいる。 「もっと女王にとって接触効率が良い活動のアルゴリズムがあるのではないか?なぜこんな非効率そうな方法をとっているのだろうか?」これが疑問の始まりである。
続編「第二章:初めての国内の学会発表まで」は後日UPします