科学と芸術の融合
光の原理
光の経路に対する考え方としては、 点光源を考え、光源から球面波が出ている。 球面の法線が、光が進む方向、つまり光の経路である。 光の経路は直線である。
光の原理は一つである。
1.ある点Aとある点Bを最小の時間で結ぶように、光は経路をとる。
鏡による光の反射は、点Aと点Bの間に鏡上の点Cを考える。 点Cの位置は、点Aから点Bまで光が到達する最小の時間を考えるように決定する。 計算すると、入射角と反射角が等しいという反射の法則が出てくる。 次に、媒質Aと媒質Bの中を光が通る場合を考える。 媒質Aと媒質Bの中では、光の速さが異なることを考え、 光の原理を使うと、屈折の法則が導出される。
このように光の原理から、いくつかの法則が導出される。 では、この法則を使って、多様な表現の世界はつくれないだろうか。 その表現の世界は、芸術といわれる。
万華鏡の法則
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合わせ鏡を例に実像と虚像について考える。 光源を考え、光源から球面波が出ていると考える。 球面の法線は、光の経路である。 光の経路は、鏡の反射によって変わるが 人間の目にとっては、光の経路は視点からの一本の直線として考える。 視点から一本の直線上において、実際の光の経路と同じ距離の場所に虚像がみえる。
反射する光の経路は無数にあるので、無数の虚像が見えることになるが、 実際は光の強度が距離に反比例するので、虚像はどこかでみえなくなる。
人間の目で見る場合は、目のレンズ体によって、実像が網膜上に結像として焦点を結び、 虚像が見えることになる。 万華鏡の世界を外に映し出すためには、目のレンズ体の代わりに凸レンズをおいて、 虚像を結像させる必要がある。
万華鏡の法則
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レンズの焦点距離をfとする。 光軸における、レンズの中心から光源の位置までの距離をaとし、 レンズの中心から結像の位置までの距離をbとすると、 以下の法則が成り立つ。 1/a + 1/b = 1/f
焦点距離をfとは、光源が無限遠方にあるときのbのことである。 この時、入射光は平行線になっている。 焦点距離fと万華鏡の縦方向の長さをaとすると、万華鏡の中の世界が 距離bで結像すると考えられる。
そして、再び万華鏡
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万華鏡の法則とレンズの法則を組み合わせれば、 万華鏡の中の世界を、外側に開くことができる。 以下の手順で考えてみよう。
- 1.万華鏡を単に合わせ鏡だと考える。
- 2.合わせ鏡の光の反射を直線に解きほぐし、下面に展開する。
- 3.万華鏡の下面に広がる像を実像だと考える。
- 4.実像のそれぞれの点に、点光源をおく。
- 5.点光源からの光が、レンズによって天井において結像を結ぶと考える。
- 6.下面にある多数の点光源が、天井において多数の結像を結ぶ。
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そして現在、進行中
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万華鏡の素材として、鏡を使って礎的な実験を行っている。 また、屈折率の異なる媒質の界面では、反射がおこるので、 鏡のかわりに、三角柱のガラスを用いた万華鏡をつくることも可能である。
光源として、どのような強度の光を用いればよいのかを検討中である。 現在、ガラスの反射率をはかり、どのような光強度の光源を使えばいいのか、 を実験している。 具体的な問題点としては、光源が発熱するので、熱がガラスに伝導し、 温度勾配によって、ガラスに割れ目が入らないようにすることがあげられる。
発熱が伝導する様子を調べ、必要であれば、ファンによって、空気の対流をつくり、 熱がガラスに伝道しないような装置を作製する。 また、レンズの法則は、光源が光軸付近にある場合に、2次の微小量を無視した近似であるので、 万華鏡の中の世界を正確に焦点を合わせようと思えば、天井のスクリーンを曲面にすることが必要である。 そこで光の経路を数値計算によって、計算する。
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