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ヤンバルへのフィールドワークを踏まえ、研究の方向性

文責:八重樫 和之 (2009年4月23日) カテゴリ:トゲオオハリアリの女王が示すパトロール行動解析とモデル化(20)

トゲオオハリアリ外役の視覚と記憶

巣を崩しても巣の景色を覚えており二匹ずつペアで捜索していた。 5分ほど経った後巣を掘り出す。 巣穴を固めると別の入り口を作る。

チェンバー考慮した際の変更点

チェンバーごとに外役、内役など居場所が異なる。 チェンバーを考慮した際、今まで一つのチェンバーのみの問題であった。 一つのチェンバーであればロイヤルコートの形成と直接接触をベースとしたコミュニケーションにより女王パトロールのモデルは存在する(図1)。しかし、チェンバーが二つ以上、すなわちロイヤルコートを形成する部屋以外の場所が存在した場合パトロール方法を変える必要がある。直接接触以外のアルゴリズムがなければ効率が再び悪くなってしまう。 今までのモデルの前提は女王蟻は自分のコロニーサイズを知らない、すなわち隣のチェンバーに何匹のワーカーがいるかをわからないという前提である(図2)。このときいかにして他のチェンバーのアリも含めてパトロールを行うのだろうか。

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今後の方針と実験系

まず

  • ・女王はどのチェンバーに存在するのか
  • ・女王はチェンバーを行き来するのか
  • ・どのタイミングでチェンバーを行き来するのか
という疑問を解決するための実験を行う必要がある。

そこで直径10cmほどのシャーレを一つのチェンバーと見立て、複数のシャーレを管で繋ぐ実験系をつくる。 その画像解析を行い女王蟻の行動とワーカーの振る舞いを観察する(図3)。 巣の構造を含めたパトロールを行うことで、コロニーサイズが150を越えた際に起こりやすくなるコロニー分化のメカニズム解明につなげることができるのではないだろうか。すなわちコロニーの繁栄を行う労働フェイズ、分化し種を繁栄させる繁殖フェイズの切り替えのアルゴリズムを知るヒントになり得る。

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