ブラックボックス化とブラックボックスを開けること
ものづくり講座を続けてきて思うことをまとめる。
ブラックボックスの弊害
ブラックボックス。これは機械は複雑な原理で動いている。 しかし、使用者にとってその機械の箱の中、つまりどういう仕組みで動いているのかは一切問題にすることなく機械をスイッチ一つを押せば使うことができる。 だが、ブラックボックス化を進めすぎるがあまり、そのブラックボックス内の仕組みへの興味が薄れてしまう。
では逆に、ブラックボックスを開けることで仕組みを理解する。すると、自分で工夫して新たに作れる部分が出てくるはずだ。 結果としてブラックボックスの中身を学ぶために用いる知識・技術は単なる限定されたものではなく、物理や数学など体系だったものと繋がっている。物理や数学などの学問も「試験を解くため」という限定的内容ばかりに終始するからつまらなくなる。なぜ必要なのか?どう使うのか?必然ステップが見えば面白く、結果として内容も身につく。
ものづくり講座について
このようなことを考えて今まで行ってきたのが「ものづくり講座」である。 ここ1年間でカリキュラムを何度も改変を行ってきた。体験編・基礎編は大分内容として固まってきたと思える。 今まで内容・教える順序、教材などさまざまな試行を繰り替えしてきた結果、今見ると体験編は相当な「ブラックボックス化」を行いっている。なぜか?それはブラックボックスをいきなり開け過ぎると、要素が多すぎて「生徒が今何をしているのかわからなくなる」という問題に繋がる。ちなみにこれは最近「応用編」で行ってしまった失敗である。
3つのステップ
最近感じることは、最低3つのステップがあるということ。 体験と基礎固めと応用。 一つ目は、ブラックボックスを明示的に作るが、その中で「試す→結果を見て考える→再び作る」の繰り返し。 道具の使い方がおぼつかない段階ではまず基礎動作を覚えることの徹底。 でいて地道に作っていっても先が見えない。動作を覚えたらブラックボックスではあるが「電子オルゴール」や「電光掲示板」回路を作ってみる。これは「鳴る」「光る」つまり、「動かせる」ものを作る。すると何がこれから「どんなものが作れるのか」をイメージできる。これが体験編である。 一度、ハードウェア、ソフトウェアでワンセット体験を行い、改めて基礎固め。 こちらでは、今までのブラックボックスを開けるのに必要な要素を絞って学ぶ。回路図やプログラミングなどそれ単体だけではあまり応用性が見えないもの。しかし、しっかりと固めないとブラックボックスを開けた際に理解ができない。 基礎を固めたら、基礎的な内容を繋ぐ過程。これを経ないで応用したのが最近の失敗である。ここではブラックボックスをいきなりすべて開けるのではなく段階的に開ける。マイコンプロうグラミングだけに限定し、ハードウェアの仕組みを問題にしないようにする、などである。こうしてだんだんと応用できる方向へつなげていく。 以上のようなプロセスを経るには、結果として週1回で1年間はかかるようである。単発であればやはりできることは似たり寄ったりになるということもここ1年で感じたことだ。