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積みあがること

文責:八重樫 和之 (2009年6月12日) カテゴリ:八重樫ブログ(23)

最近、ものづくり講座について思ったことをまとめる。

教えればいい。というわけではない

一回一回教えたこと、学んだことにするの簡単だ。 授業でやったという事実があればいい。 しかし、毎回継続し、前回までに学んだことを積み上げていくのは難しい。 「教えたから」という言い訳が通じない。

試験という基準

試験というのはよくできた仕組みだと思う。 解けなければ、試験を受けた人に責任があるという構図ができる。 英語だろうが数学だろうがとりあえず知識を問う問題が作れる。 客観的で平等な評価基準がなかった時代に、試験で評価するという制度は画期的だったのだろう。

試験の弊害

しかし、試験ばかりに特化すると「試験のための最適化」した者が優位になる。 こうなると、そもそも何が目的で何が手段だったのかが解離する。 試験は解けるが、実際に手を動かして何かをした経験がないと実は何もできない状態であることすら気づけない。

作りながら学ぶ

そこで、ものを作ることを前提として、必要となる知識・技術学べるようにと考えたのが現在行っている「ものづくり講座」である。 しかし、やはり「積み上げる」部分をどうカリキュラムとしていくかがいつも悩みどころである。 作る問う前提であればポイントは「トラブルシューティング」が鍵だろう。 本当に理解し、さらに知識だけでなく技術、そしてそれでもうまくいかない場合にとにかく諦めず試していく。これができれば「積み上げる」ことができている基準となるだろう。

どうトラブルシューティングを位置づけるか

さて、とは言えトラブルシューティングを授業内に組み込むのは難しい。 例えば、「マルチバイブレータ回路(基礎編の電気回路製作)」で、うまく回路が動かないとする。 具体かつ客観的にやることは、同じ回路の製作だ。原因を探したり、考えたりすることは、回路が完成しないため一見進んでいないように見える。 しかし、ここでいかに立ち止まり考えたかどうかで今後の「積みあがり方」が変わる。

以前の失敗

以前は、回路がうまくできない場合、ひたすら原因を探すように生徒に指示していた。 しかし、実際に動かない回路の原因が探せたとしても、これを直すのはまた難易度が上がる。つまり、

  • 1.原因を見つける
  • 2.解決法を考える
  • 3.実際に直す

という3つを分ける必要がある。1,2ができても3で失敗すると新たなトラブルシューティングが出てしまう。

今後のやり方

以上から、考え方として、「作り直し」を位置づけようと思う。原因を見つけ、解決法を見つける。ここまでは今までと同じ。 しかし、ここから「直す」か「新たに作る」かを判断する。作り直すと以前より圧倒的にきれいな回路を作れるようになる。 すると、トラブルシューティングもやりやすくなるだろう。



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