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【2010.1.28】
ロボティクス講座出前授業「磁力を操る」実施報告

文責:佐瀬 一弥 (2010年2月20日) カテゴリ:ロボティクス講座 授業日誌(14)

1月28日、東北学院榴ケ岡高校にてロボティクス講座の出前授業を実施し、 東北学院榴ケ岡高校の2年生88名が参加しました。

授業内容

はじめに

はかることは科学的に物事を考えるための手掛かりを得るために有効な手段です。わからないことがあるとき、まずははかってみることで具体的な道筋が見えてくることがよくあります。このことがこの教室でもっとも伝えたいことです。今回の教室のテーマは、「磁力を操る」です。身の回りの電化製品や機械はどのような原理で動いているのか、なかなか複雑で理解するのは困難です。どれもエンジニアが工夫を凝らして、現象を制御しようと努力してきた成果です。磁気の応用はモーターや記録媒体など多岐にわたっています。今回の実験では、磁力の性質を調べ操ることで、目に見えない磁気をどのように制御し応用しているのかを体験していただきます。まずは、磁気の性質を理解するために、はかることから始めます。磁力を測るシステムの構築方法を教えましょう。

測定システムを作る、使う

3人グループでそれぞれ役割分担し、PCを用いて磁力をはかるシステムを作ります。 それには、センサを使うための電子回路、電子回路とPCの接続、PCの電圧測定プログラムのセットアップが必要です。回路図を読んでセンサを使う回路を作る前に、LEDを光らせる回路を作って回路図の読み方とブレッドボードの仕組みを確認しました。そして、センサを動かす回路を製作し、それをPCと接続、PCのソフトを起動し、正しく動作しているかを確かめました。部品の使い方や配線の仕方などはひとつひとつは簡単なことですが、すべて正しく行うには細かい作業を真剣に取り組まなければなりません。苦戦したグループも何が原因かを積極的に探していました。

センサの性質を調べる

完成したものの、その装置の性質や対象とする物理現象が分からなければ、使いこなせません。そこで、磁石のまわりに何点か測定点を決めて、磁気センサが測定点ごとに、どの向きで何Vを出力したかを表にまとめてもらいました。磁力が大きさと方向をもつベクトル量であること、センサで磁力のx成分とy成分を測ることでベクトルを書くことができることを確認しました。数学で学んだベクトルは磁気を理解するために欠かせない考え方です。

磁場を可視化する

さて、磁石の周辺でセンサの位置と向きで出力される電圧が変わることはすでに確認しました。では、磁石のまわりの磁力はどのように分布しているのでしょうか。この問いに答えるために、磁石のまわりに5mm間隔で測定点を取り、それぞれの点で磁力の大きさと向きを調べる実験を行いました。測定点にセンサを固定して磁力のx成分、y成分を測定しPCに取り込むと、画面に測定点から延びるベクトルが表示されます。そして、磁石のまわりの点それぞれから磁力ベクトルが伸びる画像が作られていきます。このように場所ごとにベクトルの大きさ、方向が定義される空間をベクトル場と呼びます。ベクトルが磁力の場合には磁場と呼びます。つまり、この実験は磁場を可視化するということもできます。
実験では、磁石のまわりに測定点を書くことなどの準備から役割分担して行ってもらいました。手順が難しいところもあり、TAの大学生に質問してすすめるグループや、きれいに磁場を可視化するにはどうしたらよいかを考えながら丁寧に測定を進めるグループもありました。最後にうまく完成できたグループの結果を見て、作った画像の意味を再確認し、一般の理科の教科書によくでている磁力線と同じようなパターンが見えることや、磁石に近いほど磁力が大きいことを確認しました。


高校生が作成した磁石のまわりの磁場

まとめ

当初は磁力を操る実験として、課題として目的の磁場を提示し、その磁場を実現するためにはどうすればよいかを考え挑戦していただく予定でした。しかし、限られた時間の中で十分に試行錯誤していただくことを優先して磁場を可視化するところまでとさせていただきました。
磁力をはかるといっても、そこに至るまでの測定システムの構築や実験の準備など、細かい作業が必要でした。やみくもに測るのではなく、しっかりと装置の性質を理解したり、はかった数値を目で見てわかるように表現する方法を考えたりしたことで、より多くのことに気づけたのではないかと思います。
さて、この教室で最も伝えたいことは、はかることの意味でした。はかることがおもしろいと感じられたらその感覚を忘れず、迷ったら測るを実践していただきたいと思います。

※本教育プログラムは科学技術振興機構のサイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)に採択されています。
実施機関 NPO法人natural science
連携機関 東北学院大学教養学部情報科学科、東北学院大学榴ケ岡高等学校
協賛・協力 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社



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