オームの法則の実験方法の検証
目的
小学生にやってもらうことを意図して 簡便にした下記の測定方法で、 オームの法則が確認できるかどうかを調べる。
提案する測定方法
図1に示す電源装置を用いる。この装置のつまみを回すことで
赤黒の端子間に出力される電圧値が調整できる。
図2(a)のように電源装置、ジャンパーピン、抵抗で
構成される実験系を構築し、
抵抗値は一定にして、電源装置の出力電圧を調整し、
抵抗器の両端における電圧と抵抗器に流れる電流を
記録する。このとき、電圧計と電流計の接続の仕方は
図2(b),(c)のようにする。
(電圧を測定する場合はジャンパーピンをショートさせる
べきだが、実験手順が簡単であることを優先した)
電圧を横軸、電流を縦軸にとってグラフを書く。
図1 電源装置の回路図(左)と外観(右)
図2 測定回路の回路図と電圧計、電流計の接続方法
検証方法
値が異なる抵抗器3つの場合に上記の測定方法を 行い、得られた電圧値と電流値が比例関係にあるかどうかを 調べる。抵抗値は、実測値が99.1[Ω]、390[Ω]、984[Ω]の抵抗器を用いた。
結果
3つの抵抗器それぞれを用いた場合の、得られた電圧-電流の 関係を図3に示す。グラフ中の直線はそれぞれの抵抗器を 用いた場合の測定値の近似直線である。パラメータaが グラフから求められる抵抗値に対応する。
図3 電圧-電流の関係
以下に、グラフから
認められることを述べる。
・抵抗器が984[Ω]の場合は、電圧値と電流値が比例関係にあることが十分確かめられる。
・抵抗器が390[Ω]の場合も、電圧値と電流値の比例関係が認められるが、
電圧値が大きい方から2点の測定点の電流値の大きさが同じである。
・抵抗器が99.1[Ω]の場合は、電圧値、電流値が大きくなると、電流値が
飽和するような現象がみられる。
考察
この実験で測定した電圧値は電源装置の開放電圧である。
そのため、電源の内部抵抗の影響が大きい場合は、この
測定値を抵抗の両端にかかる電圧として用いることができない。
99.1[Ω]の場合に、電流値が飽和するような現象は
電流の増加に伴う内部抵抗における電圧降下とみることが
できると思われる。
また、電源装置のつまみの位置により内部抵抗が変化することも
考えられることなど考えられる。
まとめ
実験に用いる抵抗器がおよそ1kΩ以上であれば十分に
オームの法則が確かめられる。
1kΩ未満の場合は電源装置の内部抵抗の影響がみられ、
この測定方法では電圧値と電流値が比例しない。