磁場可視化装置の開発4 ~定電流回路の特性~
定電流回路
磁場可視化装置の構成
ホール素子には一定の電流を供給する必要がある。 電流値にばらつきがあると、センサひとつひとつが 同じ磁力に対して違う出力をしてしまう。 そこで、オペアンプを用いた定電流回路の特性を調べた。
回路図とその性質
定電流回路の回路図
ツェナーダイオードによりオペアンプの正入力には約5Vが入力される。
オペアンプの負帰還によるイマジナリーショートで、図中のVzd=Vzd'となる。
点線で囲まれた部分に負荷を接続すると、抵抗の大きさにかかわらず一定の電流が引き込まれる。その値は、
I = V_zd' / R1 (1)
である。
しかし、図中の電圧には以下の関係が成り立たなければならない。
V_sup = V_R + V_ce + V_zd' (2)
一方、負荷における電圧降下は、
V_R = R2 * I (3)
よって、負荷の抵抗値が大きいほどV_Rが大きくなる。
V_zd'は一定であるから、V_Rが大きくなると(2)を満たすようにV_ceが変化する。
V_ceは正の値であるからV_ceとなるR以上の負荷においては電流が低下する。
実験
上に示した回路図を構成し、負荷として可変抵抗を接続し、その抵抗値R2を変化させたときの電流Iを測定する。電源電圧V_supは9V電池と、スイッチング電源12Vを用いた。 結果をグラフに示す。
負荷の抵抗値R2と電流Iの関係(パラメータはV_sup)
R2が小さいときは一定の電流を供給できているが、ある抵抗値を超えると電流値は低下した。これは上記の理由によるものと思われる。電流が下がり始める抵抗値は、V_ce=0となるR2の値、すなわちV_sup=9Vの場合は、
R2 = (V_sup - V_zd')/I = (9-5)/0.005=800[ohm]
V_sup=12Vの場合は、
R2 = (V_sup - V_zd')/I = (12-5)/0.005=1400[ohm]
とほぼ一致する。
実装する回路パラメータの検討
ホール素子の抵抗値は600Ωから3kΩとかなりばらつきがあった。(型番が違うものも混じっている) そのため、実験で用いた回路パラメータでは満足できない。 V_supを上げることは難しいので、供給する電流値を下げることにする。