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VisualC++ と OpenGL を利用した仮想物理実験室
【2-5-1】重力による斜方投射運動における初速度の分解

文責:遠藤 理平 (2010年8月29日) カテゴリ:仮想物理実験室(325)

【2-4】重力による運動:斜方投射運動では、【2-1-2】重力による運動のアルゴリズムの導出で導出したニュートンの運動方程式を用いて、初期値として x 軸方向の初速度 v_{x0}と z 軸方向の初速度 v_{z0} 設定することで、斜方投射運動をシミュレーション行ないましました。 前回と同じ斜方投射運動のシミュレーションですが、初期値の与え方を変えます。これまでのとおり、【2-1-2】重力による運動のアルゴリズムの導出で導出したニュートンの運動方程式のアルゴリズムからスタートします。

(9.1-1)
時刻 t=tn[s] におけるニュートンの運動方程式

斜方放射運動の初期値2

【2-4】重力による運動:斜方投射運動では、v_{z0}を一定として、v_{x0}の値を変化させ場合のシミュレーションを行ないました。v_{z0}と v_{x0}の組み合わせで、初速度 v_0 を計算することができました。

(9.1-2)

今度は逆に、初速度 v_0 と角度θで運動の初期条件を表現します。多分、多くの人はボールを斜方に投げるとき、z 軸方向の初速度○○、x 軸方向の初速度△△、といったことをイメージしながら投げるということをしていないので、今回の表現のほうが自然ではないでしょうか。

定義:三角比

x-y 平面に長さ1の円を配置し、x 軸方向から y軸方向へ、なす角度θで直線を描きます。 円との交点から x軸と y軸に垂線を下ろします。 そのときの原点0 と垂線と x 軸との交点までの長さを cosθ、 原点と y 軸との交点までの長さを sinθ と表します。

速度の分解

cosθと sinθ は、θの値が変わると変化します。 例えば、
θ=0° → cosθ = 1, sinθ = 0
θ=30°→ cosθ = √3/2 , sinθ = 1/2
θ=45°→ cosθ = 1/√2 , sinθ = 1/√2
θ=60°→ cosθ = 1/2 , sinθ = √3/2
θ=90°→ cosθ = 0 , sinθ = 1
などは、中学生で学習する直角三角形の線分の比と同じで、 三平方の定理で計算することができます。 そのほかのθの場合には暗算できませんが、コンピュータが計算してくれるので心配ありません。

日常生活において、角度の単位は円周を360等分した量で測る度数法(単位:度、記号:°)を用いることが多いです。しかしながら数式で角度を扱う場合、単位円の弧の長さで測る弧度法(単位:ラジアン、記号:rad)と呼ばれるものさしを使います。 半径1 の円周の長さは、2π と小学生で学習します。 例えば、
弧の長さが 2π → θ= 360°
弧の長さが π → θ= 180°
弧の長さが π/2 → θ= 90°
弧の長さが π/3 → θ= 60°
弧の長さが π/4 → θ= 45°
弧の長さが π/6 → θ= 30°
弧の長さが 0 → θ= 0°
と、弧の長さが決まれば、角度θが決まります。 逆の言い方をすれば、弧の長さだけで角度を表すことができるので、 わざわざ度数法の「°」という単位を使う必要がありません。 弧度法では、角度を π[rad]のように指定します。 もともと、πは直径と直径との比という神様が決めた量であるのに対して、 円周を360等分する度数法、たぶん人間が勝手に(歴史的に)決めた量なので、 弧度法のほうがより客観的であることが言えます。 上図の場合、角度がθ[rad]であれば、太線で描いてある弧の長さはθ[m]となります。 (同じθですが、単位が異なります。)

物理量:角度[rad]

(9.1-3)
角度

コンピュータプログラミングの際も、この弧度法が利用されています。 とはいえ、度数法もこれまで慣れしてきた分、直感的にイメージしやすいので、今後も利用します。

初速度の設定

以上の三角比を用いて、初速度の z 成分と x 成分とに速度の分解を行ないます。 次の図は、x 軸方向から z 軸方向に角度θ の方向に初速度 v_0 の投射した場合です。

速度の分解

初速度 v_0[m/s]に、cos と sin を掛けたものが、z成分 x成分の初速度となります。 この初速度を用いてシミュレーションを行ないます。

VisualC++ と OpenGL を利用した仮想物理実験室

第0章 仮想物理実験室の構築

第1章 様々な運動

第2章 ニュートンの運動方程式

第3章 剛体の運動(エネルギー保存則と運動量保存則)

付録

  • 【A-1】参考文献
    ・(A-1-1)OpenGL について
    ・(A-1-2)VisualC++ について
    ・(A-1-3)物理シミュレーション
    ・(A-1-4)数値計算

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量子力学

波動論



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