「physics.js」による仮想物理実験室の構築:ばねの自然長が存在する単振動
文責:遠藤理平
公開日:2015年02月04日
最終更新日:2015年02月04日
「physics.js」は、ウェブブラウザ内に仮想物理実験室を構築し、物理シミュレーション(数値計算+3次元グラフィックス+2次元グラフ)を実行するためのHTML5フレームワークです。 様々な物理系に対するphysics.jsを用いて作成した仮想物理実験室のサンプルを紹介していきます。今回のテーマばねの自然長が存在する単振動です。
サンプル:ばねの自然長が存在する単振動
サンプル:physics.jsによる仮想物理実験室:ばねの自然長が存在する単振動
ばね定数 $k = 1$ [N/s]のばね(自然長6[m])に質量 $m = 1$ [kg]の球体を接続。ばねの長さ3[m]伸びた状態からスタートします。 ばねの長さが自然長の時の球体の位置を原点となるように配置します。
「physics.js」で生成した動画(最も単純な単振動)
時刻vs位置のグラフ
時刻 $t$[s] の球体の位置を $x(t)$[m]と表した場合、時刻と位置の関係は $ x(t) = L \cos( \omega t ) $ となります。 ただし、$L$は初期状態のばねの伸び、$\omega$は角振動数を表し、ばね定数$k$と質量$m$を用いて$ \omega = \sqrt{\frac{k}{m}} $[rad/s]と与えられます。 $L=3$、$\omega = 1$[rad/s]なので、振幅が3、周期が$2\pi \simeq 6.28$秒の単振動であることが確認できます。
時刻vs速度のグラフ
時刻 $t$[s] の球体の速度を$v(t)$[m/s]と表した場合、時刻と速度の関係は $ v(t) = -L\omega \sin( \omega t ) $ となります。 なお、位置と速度は $v(t) = \frac{dx(t)}{dt}$ の関係があります。
時刻vsエネルギーのグラフ
時刻 $t$[s] の運動エネルギーを$K(t)$、ポテンシャルを $U(t)$、力学的エネルギーを $E(t)$とした場合、それぞれの時間依存性は $K(t) = \frac{1}{2} m v(t)^2$、 $U(t) = \frac{1}{2} k x(t)^2 $、$E(t) = K(t) + U(t)$ となります。 なお、この系では力学的エネルギーは保存するため、時間に対して一定値を取り続けます。