【物理シミュレーションに挑戦!】古典力学
斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム8:斜面との衝突する剛体球(回転なし)
本項は古典力学の様々な系の物理現象を解析的に扱うのではなく、数値計算による物理シミュレーションを実行するために必要な計算アルゴリズムを示すことを目的とします。
様々な初期条件に対する物理シミュレーションを実現するために、最も汎用的な直交座標系を用います。
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム1:摩擦力無しの場合
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム2:摩擦力無しの場合の例(曲面上の運動)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム3:静止摩擦力のみの場合
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム4:静止摩擦力のみの場合の例(曲面上の運動)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム5:滑りながら転がる剛体球
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム6:滑りながら転がる剛体球(曲面上の運動)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム7:空気抵抗力と転がり摩擦抵抗力
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム8:斜面との衝突する剛体球(回転なし)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム9:斜面との衝突する剛体球(回転あり)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム10:剛体球同士の衝突(回転なし)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム11:複数剛体球の同時衝突(回転なし)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム12:接触中の剛体球に衝突した場合(回転なし)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム13:剛体球同士の衝突(回転あり)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム14:固定された剛体球に衝突した場合(回転あり)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム15:力学的エネルギー保存則を満たした斜面との衝突(回転あり)
・斜面を転がる剛体球運動の計算アルゴリズム16:力学的エネルギー保存則を満たした剛体球同士の衝突(回転あり)
前項までは指定した曲面上を運動する剛体球の運動をシミュレーションしました。 本項では斜面と衝突する剛体球をシミュレーションします。まずは剛体球の回転を考慮しない場合の衝突時の計算アルゴリズムを示します。
衝突力の計算アルゴリズム
剛体同士の衝突は一瞬の出来事です。計算時間間隔を とし、衝突前と衝突後の運動量ベクトルを 、 と表した場合、両者の関係は運動量保存則から
と表されます。 が衝突で剛体に加えられた衝突力です。この衝突力は運動エネルギー保存則から得ることができます。 本項では、衝突対象の物体が完全に固定されている系(衝突による運動なし)における衝突力は剛体の速度ベクトルを 、 質量をM、衝突面の法線ベクトルを と表した場合、
となります(詳細な導出はこちらの書籍を参照ください)。eは反発係数と呼ばれ、通常 となります。e=1で弾性衝突(エネルギー減衰なし)、e=0で衝突後のなし非弾性衝突(エネルギー減衰のある場合)を表現することができます。なお、反発係数eは、衝突前後の速度ベクトルと衝突面の法線ベクトルを用いて
で定義されます。
重心運動に対する運動方程式
衝突力を加えた運動方程式は次のとおりです。衝突の瞬間のみに適用されます。
ただし、は空気抵抗力です。
斜面と衝突する剛体球のシミュレーション
次の物理シミュレーションは、若干傾いた斜面に衝突する剛体球です。衝突時に剛体球の回転は考慮されません。 斜面との接触時には従来の斜面を滑りながら転がります。
曲面と衝突する剛体球のシミュレーション
次の物理シミュレーションは、曲面に衝突する剛体球です。衝突時に剛体球の回転は考慮されません。 斜面との接触時には従来の斜面を滑りながら転がります。