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【物理シミュレーションに挑戦!】古典力学
様々な力による物理シミュレーション2:万有引力による運動

文責:遠藤 理平 (2016年9月26日) カテゴリ:仮想物理実験室(325)計算物理学(165)

本項は物理学における様々な系の物理現象を、解析的に扱うのではなく数値計算による物理シミュレーションを実行するために必要な計算アルゴリズムを示すことを目的とします。 様々な初期条件に対する物理シミュレーションを実現するために、最も汎用的な直交座標系を用います。
様々な力による物理シミュレーション1:弾性力による運動
様々な力による物理シミュレーション2:万有引力による運動
様々な力による物理シミュレーション3:クーロン力による運動
様々な力による物理シミュレーション4:レナード・ジョーンズ相互作用による運動
様々な力による物理シミュレーション5:引力+衝突力

質量をもつ2つの物体には万有引力と呼ばれる引力が働きます。 本項では、万有引力による質点運動シミュレーションするために必要な計算アルゴリズムを示します。

図は2つの質点間に働く万有引力の模式図です。万有引力は2つの質点の質量に比例し、2点間の距離の2乗に反比例し、力の向きは2点間を結ぶ直線上で引力として働きます。そのため、m番目の質点からn番目の質点に与えられる万有引力は

\mathbf{f}_{n,m} =- \frac{ GM_nM_m }{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|^2}\  \hat{\mathbf{n}}_{n,m}

と与えられます。ただし、Gは万有引力定数と呼ばれる定数です。また、力の向きを与える単位ベクトル \hat{\mathbf{n}}_{n,m}

\hat{\mathbf{n}}_{n,m} \equiv  \frac{ \mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m }{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|}

と定義します。もし、複数の質点が互いに万有引力を及ぼし合う場合、n番目の質点に加わる力は各万有引力を足し合わせた

\mathbf{f}_n = -\sum\limits_{m=1}^{N} \frac{ GM_nM_m }{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|^2}\  \hat{\mathbf{n}}_{n,m}

で与えられます。そのため、n番目の質点の時間発展は運動方程式から

\frac{d^2\mathbf{R}_n }{dt^2} = -\sum\limits_{m=1}^{N} \frac{ GM_m }{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|^2}\  \hat{\mathbf{n}}_{n,m}

となります。

運動エネルギーとポテンシャルエネルギー

系全体の運動エネルギーとポテンシャルエネルギーはそれぞれ次のとおり与えられます。

T_{\rm total }= \sum\limits_{n=1}^{N}   \frac{1}{2}M_n \mathbf{v}_n^2
U_{\rm total }= -\sum\limits_{n,m\,(n\neq m )}^{N}  \frac{ GM_nM_m }{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|}

両者の和系全体の運動エネルギー

E_{\rm total } = T_{\rm total } + U_{\rm total }

は時間に依存しません。

万有引力運動シミュレーション

楕円運動を行う初期条件に対するシミュレーション結果です。万有引力を矢印で表しています。

3体問題


物理シミュレーションについては「HTML5による物理シミュレーション」を参照ください。 数式の表示は「Tex表記によるHTML文書への式の埋め込み」をご覧ください。



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