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【物理シミュレーションに挑戦!】古典力学
空気抵抗力シミュレーション2:剛体球モデルによる粘性抵抗係数と慣性抵抗係数の見積もり

文責:遠藤 理平 (2016年10月14日) カテゴリ:仮想物理実験室(325)計算物理学(165)

これまでに導出した計算アルゴリズムを用いて、様々な物理現象のシミュレーションを行っていくことを目的とします。 本シリーズでは日常生活でもお馴染みの空気抵抗力の起源について考えます。
空気抵抗力シミュレーション1:空気抵抗力の定義
空気抵抗力シミュレーション2:剛体球モデルによる粘性抵抗係数と慣性抵抗係数の見積もり
空気抵抗力シミュレーション3:ファン・デル・ワールス力モデルによる粘性抵抗係数と慣性抵抗係数の見積もり

前項で開発した剛体球による空気抵抗シミュレーションを用いて、速度の時間経過データから本モデルに対する粘性抵抗係数と慣性抵抗係数を見積もってみましょう。粘性抵抗のみあるいは慣性抵抗のみが存在する場合、前項で示した解析解から各係数は

\gamma= - \frac{m}{t} \log\left| \frac{v(t)}{v_0} \right|
\beta= \frac{m}{t}\left(   \frac{1}{v(t)} - \frac{1}{v_0} \right)

で得られます。もし、粘性抵抗あるいは慣性抵抗のみが働く場合、上記の係数は時間に依らず一定値を取ることになります。速度の時間経過データから上記係数を計算してみましょう。 次の空気抵抗力シミュレーションは、空気分子間相互作用「無」の場合の結果です。「計算開始」ボタンをクリックするとシミュレーションが開始されます。


空気分子間相互作用「無」の系

計算結果から慣性抵抗係数がほぼ一定値(0.13)を取ることがわかります。つまり、空気分子間相互作用「無」の場合には慣性抵抗力だけで記述することができることを意味します。


空気分子間相互作用「有」の系

空気分子間相互作用「有」の場合も慣性抵抗係数がはじめのうち(0.5秒程度まで)はほぼ一定値(0.15)をとります。「無」の場合よりも若干大きな値を取るのは、空気分子間の相互作用の結果、運動する剛体球に衝突する空気分子数の単位時間あたりの衝突数が増加するためです。 しかしながら、0.6秒ぐらいから慣性抵抗係数は徐々に値が下がっていきます。 これは、空気分子間の相互作用の結果、空気分子が散乱してしまって運動する剛体球に衝突する単位時間あたりの衝突数が減少してしまうためだと考えられます。 これは今回のモデルでは空気分子の数が少ないのが原因です。

初速度を「1」で実行してみてください。初速度が小さくなるにつれ効果が下がるはずの慣性抵抗係数はほとんど変化しないことが確認できます。 これが意味することは、そもそも剛体球モデルでは粘性抵抗力を表現することができないことを意味しています。 そのため、粘性抵抗力を表現するには異なる相互作用を導入する必要があると言えます。 次項ではファン・デル・ワールス力(レナード・ジョーンズポテンシャル)による同様のシミュレーションを開発したいと思います。



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