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【物理シミュレーションに挑戦!】量子力学
量子力学のための波動論2:平面波の重ね合わせによる波束の生成

文責:遠藤 理平 (2016年11月 1日) カテゴリ:仮想物理実験室(325)計算物理学(165)

本シリーズは量子力学を理解するために必要な波動論を復習することを目的とします。
量子力学のための波動論1:平面波の時間発展
量子力学のための波動論2:平面波の重ね合わせによる波束の生成
量子力学のための波動論3:ガウシアンパルスの時間発展
量子力学のための波動論4:ガウシアンパルスの時間発展の解析解

波動方程式やシュレディンガー方程式の解である「平面波解」は、異なる波数の平面波解を重ね合わせたものも元の方程式を満たします。つまり、任意の平面波を重ね合わせた波動関数

\psi(x,t)= \sum\limits_{n}c_n \,e^{ ik_nx - i\omega_n t }

も元の方程式を必ず満たします。ただし、角振動数\omega_nはk_nに依存します。上記の場合、波数は飛び飛びの値と考えていますが、連続値の場合でも問題ありません。具体的には、和の記号を積分記号に置き換えた

\psi(x,t)= \int dk\, C(k) \,e^{ ikx - i\omega(k) t }

も、元の方程式を満たします。 C(k) を波数分布関数と呼ぶことにします。この波数分布関数はどんな関数形でも構いませんが、次のような正規分布(ガウス分布、ガウシアン)を用いることで、数学的に取り扱い易い波束(パルス)を生成することができます。

C(k) =\exp\left[-\left(\frac{ k-k_0 }{2\sigma} \right)^2 \right]

上記の場合、 k_0 を中心とした幅が 4\sigma 程度の波数分布となります。この波数分布関数が正規分布の場合、対応する実空間分布も正規分布となることが知られています。波数分布の幅が狭くなるほど、実空間の分布が広がるという関係があります。

 本項では、正規分布型の波数分布関数と実空間の分布の関係を確かめるためにt=0における波動関数

\psi(x,t=0)= \int dk\, \exp\left[ ik(x-x_0) -\left(\frac{ k-k_0 }{2\sigma} \right)^2 \right]

を考えます。ただし、実空間における波束の中心です(平面波解をx軸方向に平行移動( x\to x-x_0 )しても元の方程式を満たします)。 次のグラフは、指定した波数分布関数として与える正規分布の幅と中心位置、実空間における波束の中心位置に対する、波数空間と実空間の分布をそれぞれプロットしています。 そのため2つのグラフは連動しています。パラメータを変化させることで次のことが理解できます。

1.波数分布の幅を狭くすると実空間分布の幅が広がる(反比例の関係)。
2.実空間の波束の中心位置を原点からずらすと、波数分布は実数だけでなく虚数を持つ。
3.波数分布の中心を移動させても実空間の分布は変化しない(時間発展を取り入れたときに違いが現れる)。

参考図書

3次元グラフィックス関連

three.jsによるHTML5グラフィックス上 【改定版】
three.jsによるHTML5グラフィックス上 【改定版】
three.jsによるHTML5 3Dグラフィックス 【新機能と応用】

物理シミュレーション関連

HTML5による物理シミュレーション
HTML5による物理シミュレーション【拡散・波動編】
HTML5による物理シミュレーション 【剛体編】
HTML5による物理シミュレーション 【剛体編2】



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