【物理シミュレーションに挑戦!】量子力学
量子力学のための波動論3:ガウシアンパルスの時間発展
本シリーズは量子力学を理解するために必要な波動論を復習することを目的とします。
・量子力学のための波動論1:平面波の時間発展
・量子力学のための波動論2:平面波の重ね合わせによる波束の生成
・量子力学のための波動論3:ガウシアンパルスの時間発展
・量子力学のための波動論4:ガウシアンパルスの時間発展の解析解
「量子力学のための波動論2:平面波の重ね合わせによる波束の生成」では、ガウス分布(正規分布)を用いた波数分布関数の中心や幅に対する、平面波の重ね合わせで生成したガウシアンパルス(ガウス分布型波束)を可視化しました。本項ではこのガウシアンパルスを初期条件とした時間発展を調べます。計算する表式は次のとおりです。
時間発展の計算は角振動数を与える必要がありますが、「量子力学のための波動論1:平面波の時間発展」でも言及しましたとおり、\omegaは対象とする基礎方程式(波動方程式やシュレディンガー方程式など)からの要請で波数kに依存します。このとkの関係は分散関係と呼ばれ、この関係式によって運動は全く異なることになります。 本項では、がkの1次関数と2次関数の場合について調べます。
分散関係:波数の2乗に比例(シュレディンガー方程式など)
量子力学で登場する基礎方程式のシュレディンガー方程式の場合、はkの2乗に比例します。そこで分散関係を
と表し、の大きさによる運動の違いを調べます。
【実験メモ】
・ガウシアンパルスの伝搬速度は波数分布関数で指定する中心波数で決まる
・ガウシアンパルスの波束の崩れ方は係数が大きいほど早くなる
分散関係:波数の1乗に比例(マクスウェル方程式による光の伝搬)
電磁気学に登場する基礎方程式のマクスウェル方程式から導出される光の伝搬の場合、はkの1乗に比例します。そこで分散関係を
と表し、の大きさによる運動の違いを調べます。 なお、上記の式で波数に絶対値である理由は、今回は1次元なので混同してしまっていますが、分散関係に登場する波数kは「波数ベクトル」の大きさ(絶対値)を意味するためです。
【実験メモ】
分散関係が1次の場合は、2次の場合と全く異なります。
・ガウシアンパルスの伝搬速度は係数で決まる
→全ての波数に対する平面波の伝搬速度が同じなので、ガウシアンパルスは形状を変えずに伝搬する
→ただし、初期条件として与えた波数分布にて異符号の波数が存在する場合、正の波数の平面波は実軸の正の方向(右側)へ、負の波数の平面波は実軸の負の方向(左側)へ伝搬する。そのため、元のガウシアンパルスの形状が壊れる。
・を0から大きくずらすと、ガウシアンパルスは崩れないで伝搬する
参考図書
3次元グラフィックス関連
・three.jsによるHTML5グラフィックス上 【改定版】
・three.jsによるHTML5グラフィックス上 【改定版】
・three.jsによるHTML5 3Dグラフィックス 【新機能と応用】
物理シミュレーション関連
・HTML5による物理シミュレーション
・HTML5による物理シミュレーション【拡散・波動編】
・HTML5による物理シミュレーション 【剛体編】」
・HTML5による物理シミュレーション 【剛体編2】